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3月に辿り着いたところ

  • 執筆者の写真: Mie Ogura-Ourkouzounov
    Mie Ogura-Ourkouzounov
  • 2019年4月2日
  • 読了時間: 6分

日本のツアーが終わってすぐ、興奮冷めやらぬうちに先ずは、生徒の為に立ち上げたプロジェクト、その名も「息づかいと弓使いの間」、チェロのクラスとの二日間の交換レッスンを経ての発表会があった。

フランス語で言うと妙に詩的なこのタイトルは、音楽院の別名詩的な事務 (笑)Gさん提案による。要約すると、これは私の長年の教育的野心で、弦楽器の弓使いのテクニックをフルートの「息」のテクニックに置き換えたい、と言うもの。好評により今回第2回。

とは言えどんな弦楽器の先生とでも出来る訳ではなく、親愛なる同僚で20年来の友人、チェリストのフロリアン・ロリドンとだからこそ出来ることであって。

彼 はなんとも呼吸に詳しい。彼の1回目のチェロの授業で教えるのは腹式呼吸なんですって。今回もチェロのテクニックを何も変えずに、呼吸のみを深くすること でどこまで音色が変わるのか、実演して下さった。こちらフルーチスト側も、見えなくて分かりにくい横隔膜の動きや舌の動きを弓使いでヴィジュアライズする ことで多くを学べたと思う。あと、いつも高音ばかり聴いているフルーチストにはチェロの音を聴きながらバランスをとって吹くことは思った以上にセラピーに なるらしく、やはり耳のバランスを取ることも重要なのだな、と。

彼とも一曲久々に一緒に演奏したが、まあ、特に日本人と演奏した後でフランス人と演奏するとなんとエキセントリックなこと笑

久々にこの感覚思い出した笑

尊敬している間柄とは言っても、プライベートでは20年来の超悪友な私たち。発表会中も会場の笑いの絶えない、壮絶コントのような状態に(笑)

あれ写真が全然ないぞー?だれかください(笑)

爆笑発表会終了後、ロリドンが言った。

以下ロ「もうこんな時間?なんかこの発表会、長かったな」

私「誰のせいだと思ってんの?(笑)」

ロ「ミエってさあ、舞台に上がると日本人っぽくなるよね」

私「うるせえ〜(爆)どこの誰が舞台に上がるといきなり超フランス人化してるんだ!!私がせっかく早く話をまとめ切り上げサクサク進行しようとしてるのに、1つ1つのテーマでいちいち議論を巻き起こすんでない〜(笑)」

ロ「もうー最高楽しんだわ。あんたの進行に水を差すのを」

私「あわ〜ーしかもわざとやってたのか!!どこまで性格悪い〜(爆)」

そのやりとりを聞いていた事務のGさんが「次回のタイトルは「息づかいと弓使いの間」もとい、「日本人とフランス人の間」だわね、、、」だってー笑笑

まあとにかく笑うのは健康に良いことです(笑)

その後はドイツのパッサウ、と言うところのフェスティヴァルにご招待していただいていたのでひとっ飛び!

ここはオーストリアやチェコに程近い、静かな美しい街でした。デュオで2部編成のとても良いフルコンサートをさせて頂きました。企画のモーツァルティウム音楽院教授、イヴォンさんありがとうございました!!

美 しいドナウ川沿いの4つ星ホテル、そしてミュンヘン空港での美味しいビールを尻目に、未練たらたらでトンボ帰り。何故かと言うと、パリ郊外・アントニーギ ターフェスが待っているからです。今回はなんと、アタナスとフェス・オーガナイザーの親友ジェラールのお陰で、ブルガリア民族音楽の巨匠、アコーディオン のペーター・ラルチェフさんとガドゥッカ(伝統ヴァイオリン)のペヨ・ペエフさんをお迎えして「バルカンの音」と題しなんと、同じコンサートの1部、2部で演奏することが実現できたのです!

私「是非彼らと一緒に演奏出来るかしら?」

アタ「おいおい、我々の即興とはレベルが違うのやぞ、、、(恐)」

私「でもほら、巨匠と一回演奏したら、世界が変わるかもよ?(楽観主義)」

アタ「でも、、、しかし、、何と言っても、、巨匠だからな、、様子を見てみようぜ(怖)」

私の即興の最初のインスピレーションはブルガリア音楽だったと、前に書いたことがある。

何がそんなに魅力的なのかと言うと、それが今まさに起こっている音楽だからである。

あえて例えるなら、ジャズのビバップの時代のように、凌ぎを削る、毎夜沸点に達しながらしながら今この瞬間にカフェで、祭りで造られ日々発展している音楽。

それはおかしなコンクールで生産される無菌のロボット奏者や、CDによくある完璧なフリをして作られた保存剤にまみれた音楽とも、もう発展する事をやめ美術館のガラスケースに陳列されて勉強するための、置物のような音楽とも違う。

アタナスのせいで私がブルガリア音楽好きなんだろうと思っている人は多いと思うが、実は逆で、ブルガリア音楽が好きだったせいでアタナスと知り合った。その延長線上に今日がある。

私たちがペーターさんの曲を一曲レバでやっているので、(この曲、音取りに3ヶ月かかった(苦笑)まさかその時はご本人と演奏する事になるとは思ってもなかったけれど)アンコールでこの曲を一緒に演奏する事に。やったぁぁ!!

リハではいつもだったら「ほらー!もっと吹いてごらん!」と即興アトリエで生徒を押しまくってる私が、逆にペーターさんに即興で押されまくる立場に!

あー気持ちええ。。。巨匠に押される気分はもう最高のエクスタシーとしか言えない(笑)

それはスピリットが自分の限界を超える瞬間。

自分の限界を超えたものが自分を媒体として出てくる驚きをどう表現したら良いものか。

10年に一度あるかないかの体験だけれど、この瞬間のために生きてきたのだなあと。

常に準備を怠らないでいると、大切な瞬間を迎えられる。

ローランド・カークの言うところのブライト・モーメント。

私はこの瞬間のために音楽をやっている。

私 はこの人たちみたいに即興出来るわけじゃない。けどお二人のおかげで、ずーっと自分が西洋社会の不自然さと戦ってきたのは間違いじゃなかった、そのどこか で感じている居心地の悪さ、不自然さを克服するため即興という言語を選んできて、ブルガリア音楽を好きで、いっぱい精進してきたことを間違えてなかった、 心から良かったと納得させられました。

終演後、アタ「わぉ〜、巨匠と演るの凄い!何も言われなくてもやらなきゃならないことが自然に分かるっ!」

「だーから言ったじゃーんっ!」

し かしそんな憧れの巨匠であるこの人たちの話を聴くと酷くて、例えばこのガドゥッカ奏者ペヨさんのブルガリア国立民族オケ(こういうモンスター奏者が100人ぐ らいいるトンデモオケ)の月給はなんと月60ユーロ。。。こんな凄い事やってる人にこれだけしか払わないとは、もう怒りも通りこして、現代の格差社会、 ヨーロッパユニオンなんてクソでしかない、と思う。

終演後まさかの「カルテット」結成の提案までいただき。またお会いできて一緒に演奏できるなんて夢のようです!!

お二人方は私たちの脳みそのいたるところの扉を解放して、ブルガリアに疾風のごとく帰って行かれました。

あー、、、なんか脳の風通しがいいぞっ!!

そして、このすごい2019年3月の続きは、、、いよいよ長年の夢であった自分の作品を演奏するソロライブ!!

スパイラル・メロディー〜ローランド・カークへのオマージュ〜

5月11日(土)16時〜拠点のパリ・ジャック・イベール音楽院にて(無料)。

カークの「夢」の世界観と自身が書き溜めてきた曲たちを融合させたいと思っております。私にとって大切な到達点となり出発点となるであろうこのライヴ、絶賛準備中。特にルーパーの足操作を練習中(笑)どうぞお見逃しなく!!


 
 
 

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