On n'demande qu'a en rire!-フランスのユーモア 2013 3.9
- Mie Ogura-Ourkouzounov
- 2013年3月9日
- 読了時間: 4分

これ、最近よく見てる番組のタイトル。フランスで2年前位からすごく流行っている。。。 "On n'demande qu'à en rire!"「それを笑わせることだけ求めるのさ!」(うーん、訳がなんか下手だ。。。うまく訳せる人、ご一報くださいー!) 多分日本にあるよね?今もこういう番組。要するに昔やってた「お笑いスター誕生」みたいなやつで、(年齢ばれるなあ)審査員とスタジオの観客が、お笑い芸人を目指す卵たちに、点数をつけたり、講評したりする番組である。各芸人にはそれぞれテーマが出され、20点満点で点をつけるこの評価ってフランスでは学校でも音楽院でも同じなので、生徒の成績を付ける際に大変参考になります。 この番組を魅力満載にせしめているのが、この審査員陣。番組発案者でプロデューサーの美人なおばさん、カトリーヌ バルマの歯に衣着せぬ物言い、考えもせずにどばっと口から出してしまうキャラが視聴者からも大ウケで、彼女の言動は個人的にピアニストの友人MC女史を 思い出させる。他には味のある俳優さんやベテラン芸人さん、舞台監督さん。。。あと、もう一人の番組考案者、こないだサッカーで日本フランス戦のときに川 島選手にフクシマのジョークを言った事で日本から抗議されていた、司会者のローラン リュキエの独特な性格もそこに深みを加えている。 ちょと話は逸れるけど、リュキエのようなプロフェッショナルで知性的な人間が、フクシマを侮辱してあのジョークを言ったとは、私はまったく思っていない。 そんなジョークはフランス人の間では日常茶飯事で、それは別にフクシマじゃなくっても、自分たちの国で起こった大事故であれ大惨事であれ、深刻な宗教の話 であれ、戦争であれ旱魃であれ、政治の右派であれ左派であれ、なんでもかんでも起こったことは次の日にはジョークになってそこら中に散らばってるのがフラ ンスなのだ。だからリュキエがそんな風に抗議されて「とても」驚いたのも良く分かるし、また日本にはそんな土壌はないから、侮辱されたと思う心理も分から なくはない。 そのユーモアの「土壌」に関して、私がとても感動しているものがある。この番組の卒業生芸人たちでやっている"Ondar show"という番組で、「ハンディーキャップ」とかいうコーナーがあって、なんと身体障害者の人をショーに招いて、その身障者と芸人さんがいっしょに なって、身体障害に関するジョークを散々言い合うというすごく斬新かつ挑戦的なコーナーだ。 フランス以外の国にこういうユーモアのセンスが存在するのか知らないけれど、これを見れば一目瞭然で、フランス人にとってユーモアとは、「侮辱」という概 念を昇華させるための一種の手段なのだ、ということが分かる。「障害」という理不尽な出来事を外から見る事によって、個人的な「感情」を発散させて乗り越 え、もっと高い次元に進む。。。それで私は感動してしまったんだわ。フランスにはいろいろ嫌いなところもあるけれど、ユーモアに対する確乎とした姿勢だけ は他に譲らないなあと。 話は逸れたけど、この番組をみてると、音楽家として本当に勉強になる。 若い芸人たちは、出されたテーマに沿って、自分のイマジネーションを発揮して作品を書き、またそれを魅力的に演じる演技力も評価の対象になる。ある人は作 品の構成力に優れ、ある人は生来の即興力で場をつなぎ、舞台に立つその存在感だけで引き込まれてしまうような人もいる。才能を丸裸にされるようなものだか ら、評価もすごく率直だし、評価される側も認めざるをえない。一発すごいショーをした人がその後しぼんでしまったり、逆に最初平凡だった人が回を経るごと に天才的になったり。。。才能のsourceはいつ開かれるのか、予想もつかない。時には審査員のなかで意見が割れたり、審査員たちと観客の間で意見が点 数が大幅に違ってお互いブーイングになったり、ある時は審査員の評価が気に食わない視聴者がツイッターで「あんなバカな審査員のことは気にするな!お前が 一番だ」とか書かれたのがリアルタイムで紹介されたり。。。と、みんなが好きな事を言い合っていて、とっても自由な雰囲気だ。 もしもこーんな楽しい創造的な音楽のコンクールがあるなら、反コンクール派の私でも楽しめるのにね!凝り固まった毎度の課題曲で、猛練習で作り上げたテクニックの鎧の後ろに感性の貧弱さを隠した奴らを、狭量な審査委員がしかめっ顔して審査するようなのじゃなくってさー!
Komentáře